一般に「土づくり」には、物理性・化学性・生物性の改善という3つの要素があります。これらはどの1つが欠けても健康な土壌にはなりません。要素はそれぞれが独立して存在しているのではなく、互いに影響を与え合い、密接不離な関係にあります。
しかしながら、慣行農業(化学農法)は、どちらかといえば化学性や物理性に偏り、生物性を重要視してこなかったのではないでしょうか。
例えば、病原菌を殺すための土壌消毒により、土壌の微生物や小動物も死滅させ、さらに、化学肥料に頼り有機物を軽視した結果、生物性のバランスが崩れた土壌になり、塩類集積や連作障害など様々な弊害が現れてきています。
従って、土づくりのためには、この生物相の改善を積極的に行う必要があります。その生物性の根底を支えているのが微生物たちです。EMは、この微生物相の改善を図ることを主な目的としています。
また、この生物性(微生物性)の改善は物理性・化学性の改善にも大きく貢献します。しかしEMを活用する場合でも化学性、物理性といった土壌診断を適宜行い、適切な改善を実施する必要があります。
- 化学性
窒素、リン酸、カリ、その他の微量要素、pH、ECなど - 物理性
透水性、保水性、通気性、団粒構造など - 生物性
各種の微生物、線虫、ダニ類、トビ虫、大小のミミズ、甲虫類、多足類、昆虫やその他の幼虫、モグラなどの小動物の数・種類・バランス