山を切り崩して土地を平らにし腐植のほとんどない土地を田畑にしたところなど、日本の土壌はすべてが「良い」土というわけではでありません。土の3要素を念頭に、EMを十分に活用していくためにも、一般的な土壌改良は不可欠なものです。

(1)粘土質か砂質か

粘土質か砂質か粘質土壌は養分を保持する力や保水力(水持ち)が高く、過剰な養分や有害物質の影響をやわらげるなどの長所がある反面、水はけや通気性が悪いという短所があります。反対に砂質土壌では養分保持力が低く、水持ちが悪い反面、水はけ・通気性が良いという特徴があります。

こうした土の持つ短所を補うには、例えば、粘土質の強い土壌には繊維質の多い緑肥や堆肥また砂などを客土し、砂が多く乾燥しやすい土壌には良質な粘土を客土するなどします。水はけが極端に悪い場合は、暗渠・明渠などの排水設備設置をしましょう。

また、ワラ類など炭素率の高い粗大有機物を毎年少しずつ投入し、土壌中の腐植含量を維持・増進するように必ず努めてください。ただし、炭素率の高い有機物を多量に入れると一時的に窒素飢餓が起こる恐れがありますので注意が必要です。

また、多孔質のゼオライトなどは養分を保持し、少しずつ放出する性質がありますので、土壌改良に役立ちます。緑肥のような窒素成分の多い有機物を鋤込む場合などにも活用できます。
施用量は1回あたり100~200 kg/10a程度とします。

(2)水はけが良いか悪いか

水はけが良く水持ちの良い土(スポンジのように一定の水は蓄えるがそれ以上の水は下に流し出す)が作物にとっても微生物にとっても良い栽培環境となります。
水はけの悪い土などでは暗渠や明渠などの排水工事をしたり、高畝などを作る工夫が必要です。

(3)腐植が多いか少ないか

腐植の多い土が良い土の基本です。有用な微生物が働くための必須条件です。腐植の少ない土は黒みがなくパサパサとしています。土が固まりやすく、養分を保持する力もあまりありません。

腐植が少ない土には堆肥や緑肥または養分のあまり高くないボカシなどを積極的に投入します。

(4)酸性かアルカリ性か

ほとんどの作物が生育しやすいpHは6.5前後です。またEMもこの程度のpHが働きやすい環境です。酸性が強い場合はアルカリ資材(なるべく天然のカキ殻や貝化石)を投入してください。

土質により異なりますが、カキ殻の場合は、150~200kg/10aを投入してpH値を計って、目標値に到達していなければ、次の作付けで追加投入してください。

(5)その他土壌養分の過不足はどうか

窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの養分は多過ぎても少な過ぎてもいけません。ボカシや堆肥、またその他ようりん(溶性リン肥)などの土壌改良資材で徐々に改良していくことが大切です。

化学性の改善 一般的な土壌成分の目標値(表1)を目安にして、土壌改良を行ってください

表1.土壌成分の目標値(mg/乾土100g)

(6)水田の土壌改良

水田の土壌改良には、とくに病害虫を寄せつけない硬い丈夫な稲に育てることがポイントです。

そのためには、土壌のケイ酸含量を高める必要があります。資材には、貝化石が有効ケイ酸を多く含んでいますので、活用に適しています。投入量は150~300kg /10aで、2~3年継続します。