EM・3Sで安定した葉物栽培

EM・3Sで安定した葉物栽培

  

  • 畑作

兵庫県三木市
細谷 直行さん

1)土作りセンターで作られる堆肥の施用
2)元肥を少なくし、追肥型で健全生育を目指 す
3)EM・3Sで害虫対策と生育改善

1.みずほ協同農園の紹介

生活協同組合コープこうべが経営するエコファームは、コープこうべの店舗からでる野菜や肉の加工屑から堆肥を作り、その堆肥を使用して安全・安心な野菜を生産しています。
自然の恵みを土に還し、その土からまた恵みを受ける暮らしを実践している環境共生型農園です。
その野菜作りを担当するのが農業生産法人みずほ協同農園で、13haの農地で貸し農園と専業農家数件が営農をしています。

2.地域と経営の概要

<経営概要(2020 年)>

品目 ホウレン草、コマツナ、キク菜の周年栽培
栽培履歴は表参照
経営面積 7×60mハウス 3棟、6×45mハウス1棟
労働力 2名(本人、妻)
出荷先 コープこうべのみ
就農年 2012年から

 

3.栽培環境

1)気象条件

  • 年間平均気温:13.8℃
  • 年間平均降水量:1240mm
  • 年間積算日照時間:2018時間

 

2)圃場の立地条件

ハウスは南向きの傾斜地に設置しており、日当たりは良好。
土壌群名:細粒質普通低地水田土

3)栽培土壌の化学性

4.栽培管理技術の実際

1)栽培歴

葉物野菜の周年栽培作付けの詳細を以下表に示す。

 

2)土壌管理

1.使用資材
堆肥  瑞穂農場が生産する生ゴミ堆肥
 ハウス1棟当たり500kgを1回~2回施用6月末に1回施用
 前作の生育を見て施用を検討
基肥  特製EMボカシ 米ぬかEMボカシに魚粕、菜種粕を1:1:1で混合しプラスチック容器で発酵
作毎に30~40kg1棟投入耕起
 カキガラ石灰
 魚粉
追肥  週に1回の葉面散布で微生物と共に補給
 1棟当たり約30㍑を背負い動力噴霧器で葉面散布
 水 90㍑
 ソリブル 500ml
 EM・3S 1,000ml
 海水塩 こまつ菜は塩に弱く、入れないか少なくする

 

2.水散布の方法

ハウス上部に取り付けたスプリンクラーにて散布。
葉菜類の水やりは、灌水チューブによる点滴が一般的である。

3.栽植密度

畝幅:100×2本、150×2本cm
条間:コマツナ・ほうれん草/20cm(冬)、30cm(夏)、きく菜/35cm株間

4.栽培の特徴

有機栽培の多くの農家は、元肥を主体にして追肥を行わない方が多いが、EM・3Sを使用するようになって、ソリブルの追肥が有効になったので、元肥(作毎のEMボカシ)を以前の半分減らしている。この事によって初期の根張りが良なり、生育調整も出来るようになった。
EM・3Sを週に一回散布するようになって、イモ虫類の発生が極端に減少した。
しかし、ゾウムシやキスジハ虫などの甲虫類の発生は抑えきれていない。
◆ホウレン草:春のホウレン草はベト病が発生しやすいが、EM・3Sや塩を入れたEM活性液と併用することで発生が抑えられている。また収穫直前に水をまいても腐れが出なくなった。
◆キク菜:調整時に取り除かなくても良いくらい大きくなっている。
◆こまつ菜:収穫時まで双葉が残るようになった。

5.収量
目標収量  コマツナ 210g 20袋 200ケース / ハウス
  ほうれん草 210g 20袋 150ケース / ハウス
  キク菜 150g 20袋 300ケース / ハウス

上記を目標にしているが、EM・3Sを使用するようになって安定して達成している。

5.今後の課題

堆肥センターの堆肥をそのまま施用していたが、投入前にEM処理をした方が生育が良いようなので、堆肥に魚粉、EM・3S、EM活性液を混ぜてハウス内で再発酵させる事を検討。 今年は夏期に育苗時期よりEM・3Sを使用して、プリンスメロンの栽培を始めた。

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