ミニトマトの病気が大幅軽減

ミニトマトの病気が大幅軽減

EM活性液を用いた病気の抑制法

  • 畑作

静岡県伊豆の国市
阿部聖人さん

1.地域の概況

静岡県の東部に位置する伊豆の国市は、農業産出額は41億である。東部が山間地帯となっており、中部に平野が広がっている。静岡県伊豆の国市農協は、ニューファーマーの制度があり、他業種からの就農の受け入れを行っている。現在約50名の就農者がいる。

2.経営の概要

  • 栽培年数:慣行農法12年
  • 耕作面積:慣行栽培20a
  • ミニトマト:CF千果
  • 労働力:専業従事 7名(内パート6名)
  • 農機類:トラクター(複数人共同で使用)、マキタロウ(複数人共同で使用)、動噴
  • 出荷先:すべてJA

3.種苗について

ミニトマトの品種は、葉カビ病の抵抗性品種であるCF千果を使っている。台木は、以前は青枯れ病対策として、「がんばる根ベクト」を使っていたが、土づくりの方法を変えることで、「がんばる根」を使った栽培を行っても、病気が出なかったことから、樹勢が強く育てやすい「がんばる根」に切り替えた。

 

4.EMによる土づくり

クロルピクリンによる土壌消毒を6作行ったが、クロルピクリンによる土壌消毒を行っても、病気が止まらなくなったため、消毒をおこなうことを止めた。最も病害が酷く出た年は、6月の収穫が終わる時期にほぼ半分抜いていたような状態だった。
そこで、EM活性液を使った太陽熱消毒に切り替え、EMで発酵させた堆肥や、EMボカシを使った土づくりを行ったところ、病気の発生が少なくなった。土壌の微生物活性を調査したところ、クロルピクリンで消毒を行っている土壌と比較すると多様性が改善してきている。微生物の多用性と活性が上がったことで、病気が減ったと考えている。その他の資材として、光合成細菌の資材を葉面散布しているが、トマトの熟成が早くなった。
堆肥の量は、初年度は750/10aだったが、現在は、1.75t/10aに増やしている。堆肥の仕様も変わり、材料の原料がコーヒー粕、お茶かすが主流だったもの(カエルの堆肥)から、コーヒー粕、お茶に昆布がプラスされた匠の昆布堆肥((株)サンシン製)を使用している。

■栽培履歴(2014年)

日付 作業内容 使用資材 数量
6月中旬 収穫期収量
6月下旬 トマト残渣片付け
7月2日 耕起
7月4日 EM活性液灌注 10%EM活性液 500㍑/10a
7月5日

透明ビニールシートを
表層に張り湛水開始
太陽熱消毒を行う
7月25日 湛水期間終了
乾燥
8月5日 EMボカシ施用 EMⅡ型ボカシ施用 300kg/10a
カニガラ 200kg/10a
耕起
8月8日 堆肥施用 EM発酵堆肥 750/10a
※現在は1.75t/10a
耕起
EM活性液散布 20㍑/10a
8月28日 トマトの定植
8月29日 トマトの定植
10月中旬 追肥
有機トマト用肥料施用
400kg/10a
10月18日 EM-7葉面散布 EM-7 5,000倍希釈液で葉面散布 0.125㍑/10a
3月20日 灌水
10%EM活性液
500-1,000倍希釈液灌水 10㍑/10a
4月中旬 灌水

 

作業スケジュール

6.実施による病気の減少

20133月(左)と20143月(右)の病気の被害マップ。
赤く塗りつぶされているマスは、病気で抜き取ったトマトの苗。病気の発生が少なくなったことがわかる。
トマトの病気被害マップ

主な病気は、青枯れ病と萎凋病、黄化葉巻病だが、EMを使った太陽熱消毒を行うようになって、青枯れ病に関しては、その年によって変動するが、植え付け約2000本中10本/10a程度、萎凋病に関しては、50本/10a程度で推移しており、収量に影響するほど発生していない。黄化葉巻病に関しては、薬剤を使って対策を行っているが、10~70本ほどで収まっていることから、それほど、収量に影響していない。
以下のグラフが、4年間の月ごとの収量の変化。


2013
年は、病気が多発した年で収穫時期が終わる6月には、約半数を抜いてしまっているため、収量が少ないが、20142016年にかけて、EM活性液を使った太陽熱処理に変えて、収量が増加した。
2016年は2013年の収量と比較すると6.5t/10aの増収となった。

土壌微生物の活性

土壌の分析結果

2017年になって腐植の数値が上がったことと、苦土が少なくなってきていることが目立ってきた。


 

 
分析値

適正上限

適正下限
2017年 2012年
pH H2O 6.1 5.0 6.5 5.5
EC ms/cm 0.4 0.5 1 0.2
リン mg/100g 96 54 100 40
石灰 mg/100g 445 411 600 350
苦土 mg/100g 75 137.7 140 75
加里 mg/100g 57 67 80 30
腐植 % 5.2 3.0 10 0
石灰/苦土   4.2 2.1 6 0
苦土/加里   3.1 4.6 0 2

 

土壌の微生物活性調査結果

NASAの技術を応用した95種類の異なった有機物(糖類や有機酸、アミノ酸、アルコール、アミンなどの基質)を入れた試験プレートを使用し、土壌の抽出液を入れ、それぞれ の基質が微生物の作る酵素に分解されると赤く反応する。
つまり、より良く分解されると赤く反応する。赤い色が、より多くの穴に濃く染まると多くの微生物がいて活性が高いという評価となる。
DGCテクノロジー社によると、土壌病害が発生しにくい土壌は、微生物が多用で活性値が高いという結果が出ている。 調査の結果、阿部さんの土壌の土は、クロルピクリン消毒を行っている土壌と比較すると、微生物が多用になっており、微生物の活性が上がっていることがわかる。その結果、病害が減ったと考えている。

< 48時間後のプレート発色状態 >

クロルピクリンを使った消毒を行っている圃場の土
土壌微生物多様性・活性値:360,980(偏差値:38.3)

阿部さんの圃場の土
土壌微生物多様性・活性値:491,131(偏差値:41.9)

 

 

 

 

 

 

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